アップセルとクロスセルは、平均注文額(AOV)を高めて売上全体を伸ばすための、ECでは定番の手法です。「Amazonは売上の35%をアップセルとクロスセルで生み出している」という有名な話を聞いたことがあるかもしれませんが、この数字は2006年のもの(!)であり、今ではほとんど参考にならないでしょう。
適切なアップセル/クロスセル戦略を導入すれば、売上の10~30%アップを目指せるはずです。これは、まだ何の施策も入れていない状態から始めた場合の話です。
また、何を「増分」に含めるかという論点もあります。商品発見やバンドル販売まで含めるべきでしょうか。私は含めないと考えています。それらは別のテクニックだからです。

本記事ではアップセルとクロスセルのオファーに絞って、当社の究極のマネタイズアプリであるCandy Rackを使い、売上全体の25%をどのように生み出しているかを公開します。
データとスクリーンショットはすべて、当社が完全に自社運営しているFry Crackersストアのものです。スクリーンショットはGoogle翻訳で英語化しているため、ところどころ不自然な英語になっている点はご了承ください。
オファー全体の概要
次の表は、各アップセルの種類、直近30日間の売上、ストア全体の売上に占める比率、そしてオファーの表示回数に対する購入数で算出したCVRを示しています。
| アップセルオファー | 売上 | 売上比率 | CVR |
|---|---|---|---|
| 商品ページのアドオン | 1,999ドル | 5.1% | 1.87% |
| 商品ページのアップセル | 1,618ドル | 4.1% | 0.35% |
| 商品ページのアップセルポップアップ | 3,046ドル | 7.7% | 1.97% |
| ドロワーカートのアップセル | 2,464ドル | 6.2% | 3.45% |
| チェックアウトのアップセル | 713ドル | 1.8% | 0.99% |
| 購入後インタースティシャルページ | 56ドル | 0.14% | 0.27% |
| 購入後アップセル | 142ドル | 0.36% | 0.44% |
| 合計 | 10,038ドル | 25.4% | 0.89% |
CVRはオファーの表示回数から計算しており、オファーの各行を1ビューとカウントしています。たとえば3つの商品が並ぶオファーブロックを顧客が見た場合、ビュー数は1ではなく3になります。行単位でビューを計測することで、各オファー内の商品ごとのパフォーマンスを把握できるようにしています。
売上比率は、売上全体のうちアップセル経由がどれだけかを示します。たとえばストア全体の売上が1,000ドルで、アップセルが100ドルなら、アップセルの売上比率は10%です。
購入前オファーと購入後オファーの比較
表のとおり、増分売上の大半は購入前オファーが生み出しており(18.7%)、購入後オファーはおまけ程度です(0.5%)。
これは多くのブランドに共通する傾向です。顧客は基本的に、チェックアウトに進む前に何を買うかを決めています。購入後の売上を伸ばす唯一の方法は大幅な割引ですが、当社では(意図的に)行っていません。
オファー1:商品ページに関連アドオンを表示
最初のオファーとして、商品詳細ページでチェックボックスを入れるだけで注文に追加できる、関連性の高いアドオンを表示しています。

オファーブロックはカート追加ボタンの上に表示されるため、顧客が見逃すことはありません。
ここでは2つの商品を提案しています。
- 選択したクラッカーに合うスパイス(クラッカーごとに異なるスパイスを設定できます)
- どのクラッカーの調理にも便利なストレーナー(湯切りざる)
追加率はスパイスが2.5~4%、ストレーナーは2%前後です。ストレーナーは価格が高めで、すでに持っている顧客もいるためです。
このオファーのポイントは、関連性が高く、押し付けがましくないことです。
オファー2:商品ページで補完商品を提案
カート追加ボタンの下では、ファミリーパックへのアップセルを提案しています。CVR 0.25%と聞くと低く感じるかもしれませんが、AOVの押し上げ効果は絶大です。

アップセルのほかに、スパイスの追加オプションも提案しており、追加率は2%です。
最初のオファーとの大きな違いは、これらの商品に独自の「追加」ボタンがあり、メイン商品とは別に追加できる点です。
これらのオファーも押し付けがましくはありませんが、位置の関係で目に留まりにくくなります。
オファー3:究極のポップアップ
これが当社のアップセルの切り札です。カート追加ボタンをクリックした瞬間に表示されるポップアップで、4つの行で構成されています。
- 割引価格のファミリーパックへのアップセル(本来の意味でのアップグレード)
- 割引価格のスパイスバンドルのクロスセル
- 追加スパイスのクロスセル(別フレーバー)
- 追加スパイスのクロスセル(別フレーバー)
全体の追加率は12%超です。他のオファーと比べて圧倒的に高いのは、顧客が先に進むためにオファーを受けるか断るか、必ず判断する必要があるからです。

提案する商品は多くても3~4個をおすすめします。それ以上は顧客を混乱させるおそれがあります。
ポップアップは全体のCVRに影響するのか?
ポップアップは邪魔で、チェックアウト完了をためらわせるのではないか。そう考える方もいるでしょうし、もっともな指摘です。そこで当社ではIntelligems連携を使い、ポップアップを表示するパターンと表示しないパターンの2種類で、シンプルなA/Bテストを実施しました。

上の結果のとおり、ポップアップなしのパターンのほうがむしろCVRが低いという結果になりました。ポップアップはストア全体のCVRに悪影響を与えないという学びを得て、安心してテストを終了しました。
オファー4:ドロワーカート
アップセルの定番として人気の高い場所がもうひとつあります。ドロワーカート(カート内アップセル)です。Candy Rackのスライドカートを使えば、オファーをカートにネイティブに組み込めます。商品ページと同じアップセル構成を表示しつつ、すでにカートに入っている商品は表示しないようにしています。
CVRは3.45%と驚異的ですが、実際にはもっと高いはずです。カートドロワーが開くたびにビュー数が水増しされるためです。多くの顧客は、チェックアウトに進む直前の最終ステップとしてカート内のアップセルを確認します。

カート内ではプログレッシブリワードバーも使っており、一定金額以上で無料ギフトがもらえることを訴求しています。あといくらで特典に届くかが見えるため、クロスセルの追加率向上につながります。
オファー5:チェックアウトでの割引アドオン(Shopify Plus限定)
Shopify Plusを利用している場合は、Checkout UI Extensionsを活用して、チェックアウトの最初のステップにさまざまなコンテンツを表示できます。
オファーとしては、チェックアウトアップセルを提案し、チェックアウトプロセスの最初のステップにオファーブロックを表示できます(ワンページ型でもマルチページ型でも機能します)。

おすすめは、関連性の高いアドオンを割引付きで提案することです。顧客の頭の中では、カートはすでに確定済みです。考えを変えて商品を追加してもらうには、本当に魅力的なオファーが必要です。割引率はマージンに応じて10~20%が目安です。
ただし、その商品がすでにカートに入っている場合はアップセルを非表示にしてください。割引で買えたはずだと知れば、顧客は不快に感じます。当社の場合、このアップセルのCVRは1%前後と小さいものの、全体ではうれしい上乗せになっています。
オファー6:チェックアウトの「ラストチャンス」画面
このオファーはチェックアウト中、注文確定の直後、サンクスページの前に表示されます。購入後チェックアウト拡張機能を使ったもので、この機能は2年以上「ベータ」のままです(笑)。
最大のメリットは、顧客がオファーを受けた場合に配送先や支払い情報を再入力する必要がないことです。商品は元の注文に追加されます。Shopifyエコシステムで唯一の、本当の意味での「ワンクリックアップセル」です。

ここはAOVを高める実質的なラストチャンスなので、最高のオファーを提示しましょう。大胆な割引(20%以上)も恐れる必要はありません。オファーは購入した顧客にしか見えず、割引コードが流出する心配もないからです。
当社ではストレーナーとスパイスを通常より高い割引率で提案していますが、カートに入っていない場合のみです。同じ商品を高い価格で買ってしまったと顧客をがっかりさせないためです。
何を提案すべきか迷ったら、定番の「ご家族やご友人の分をもう1つ、割引価格でいかがですか」が常に有効です。
難点は、技術的にこのオファーがクレジットカード/デビットカード決済かつストアのデフォルト通貨でしか機能しないことです。理由は分かりませんが、長すぎるベータ期間と関係しているのでしょう。優れたオファー枠になり得るだけに、もったいない話です。
オファー7:購入後ブロック
顧客はすでに注文を終え、サンクスページにいます。技術的にはここでもアップセル(いわゆる購入後アップセル)を提案できますが、パフォーマンスはかなり低めです。

この場合、顧客が「追加」をクリックすると支払い情報を再入力する必要があるため、もう一度チェックアウトを完了するだけの強い動機が必要になります。
当社ではサンクスページを使って、注文内容に関連する割引商品を表示しています。大きな売上にはなりませんが、いわば「タダでもらえるお金」です。
ボーナス:購入特典の無料ギフト
最後に、注文金額を増やしてもらう施策として購入特典の無料ギフトを活用しています。アップセルとの相性は抜群です。「あといくら使えばこの特典がもらえます。そのためにはこの商品を追加できます」と伝えられるからです。

当社では、AOVをやや上回る金額で無料スパイス、AOVの2倍で送料無料、2.4倍でクラッカー1パックを無料にしています。無料商品をカートに追加する仕組みには、当社のもうひとつのアプリGift Boxを使っています。
無料ギフト戦略のアイデアをもっと知りたい方は、別の記事もご覧ください。
まとめ:すべての段階でアップセルを
強固なアップセル戦略には、購入ジャーニーのすべての段階に関連性の高いオファーを用意することが欠かせません。オファーは商品発見の入り口としても機能します。顧客がその場でアップセルを追加しなくても、提案された商品に興味を持ち、後から商品ページ経由で追加してくれることもあります。
また、定期的な検証もおすすめします。オファーの内容や配置を変えて試し、まだ最適化の余地がないかを確認しましょう。

この記事が、過度に攻撃的でも押し付けがましくもなく、それでいて大きな効果を生むアップセル戦略づくりの参考になればうれしいです。
当社のオファーはすべてCandy Rackで設定しています。他のアップセルアプリを探すこともできますが、購入ジャーニー全体をここまでカバーできるアプリは他にないと思います。アップセル戦略でお困りの際は、デモコールをご予約ください。喜んでお手伝いし、ヒントをお伝えします。








