Shopifyストアの開発と運用を誰に任せるかは、この先何年にもわたって事業の成長を左右します。フリーランスは一般にスピードが速く費用も抑えやすい一方、制作会社は安定性が高く対応範囲も広いのが特徴です。どちらかが常に正解というわけではなく、両者を組み合わせるのが理想的なケースも少なくありません。本記事では両者の違いと、私たちの拠点であるチェコで想定すべき単価を、日本の相場と比べながら見ていきます。
| 比較項目 | 制作会社 | フリーランス |
|---|---|---|
| 稼働量 | 契約(SLAまたは基本契約)で保証される | 一人分に限られる |
| 代替要員 | 病気、休暇、繁忙期でも主要な役割には代わりの担当者がいる | 本人が離脱するとプロジェクトが止まる |
| 対応範囲 | 開発、デザイン、UX、システム連携、CRO、メールマーケティング | 特定分野に深く特化 |
| プロセス | 確立された進め方があり、プロジェクトマネージャーが要件を整理して不要な作業を省く | 柔軟性は高いが、正確な依頼内容は自分で用意する必要がある |
| 個別対応 | 日常のやり取りはプロジェクトマネージャー経由、必要に応じて開発者とも直接連絡できる | 抱える顧客が少ないため、十分な注意を向けてもらえる |
| 透明性 | プロジェクト管理ツール(Jiraなど)、作業時間の報告、Slackへの自動通知 | どのような報告体制を取り決めるか次第 |
| コミュニケーション | 窓口は一人で、定期的な報告がある | 人によって質が大きく異なる |
| チェコでの時間単価(税抜) | 約10,800〜18,000円、SLA契約なら5〜10%程度の割引 | 約6,500〜10,800円、Shopify Plusのシニア専門家はそれ以上、SEO専門家は約18,000円 |
| 向いているケース | 要件が固まっていない、または複雑なプロジェクト(Shopify Plus、移行、ERP連携) | 要件が明確で、自社で進行管理ができ、特定分野の専門家が必要な場合 |
1. 確保できる稼働時間とキャパシティ
継続的にストアに向き合ってくれる体制を確実に確保したいなら、制作会社のほうが安心です。月あたりの最低稼働時間を保証するSLA契約や基本契約を結び、キャパシティを契約で押さえておきましょう。制作会社では通常、月30時間からこうしたサービスを提供しています。優れた制作会社なら、夏休みや年末商戦の時期など、依頼する作業や時間が少ない月に使わなかった時間を翌月以降に繰り越せる柔軟な仕組みも用意しています。

優秀なフリーランスも定期的な稼働を約束することはできますが、一人ではチーム全体と同じだけの時間を提供できません。また、代わりの担当者を用意できない点も考慮しておく必要があります。
2. 代替要員の有無
フリーランスが体調を崩したり、休暇に入ったり、別のプロジェクトで手一杯になったりしたらどうなるでしょうか。週1日や月何人日といった基本契約を結んでいても、その間あなたの作業は止まってしまいます。
しっかりした制作会社では、主要なポジションごとにすぐ対応できる代替要員を用意しています。病気の場合も、ブラックフライデーのような繁忙期も同様です。ときどき稼働が落ちても問題ないのであれば、フリーランスでも十分に機能します。実際、私たちのクライアントの多くは両方を使い分けています。簡単なタスク、バイブコーディング、コンテンツページの修正、シンプルなランディングページの制作はフリーランスに、複雑な案件、特に新機能の開発は制作会社に任せるという形です。
3. 対応できるサービスの範囲
制作会社はより幅広い領域をカバーします。開発、デザイン、UX、システム連携、CRO、メールマーケティングまで対応できるため、複数の外注先を調整する代わりに、一つのパートナーとやり取りするだけで済みます。
フリーランスの強みは、特定分野への深い専門性です。ある一つの作業を高い水準で仕上げたい場合は、専門家が最適な選択肢になり得ます。典型的なのがSEOで、この分野を熟知したフリーランスをプロジェクトに加えるのが効果的です。Shopifyでの実績が確認できるSEO専門家を探すことをおすすめします。
4. プロセスか柔軟性か
優れた制作会社には、依頼の受付、見積もり、計画、請求までの決まったプロセスがあります。見通しが立てやすくなる一方で、その仕組みに合わせる必要があり、独自の進め方を希望する場合は契約前に取り決めておく必要があります。

フリーランスの場合、仕事の進め方は通常あなたが決めます。柔軟ではありますが、その分あなたの手間も増えます。依頼内容も十分に検討し、正確に仕様化しなければなりません。制作会社であれば、この役割をプロジェクトマネージャーが担います。ビジネス上の要望を開発者向けの技術要件に落とし込み、不要な作業を省き、要望そのものの妥当性の検証も手伝います。私たちは、ビジネスへの効果がほとんど見込めず取り組む意味がないとわかっている場合、依頼を見送るよう提案したり、内容を大きく見直したりすることもよくあります。制作会社に頼むことで、結果的にコストを抑えられるのです。一方、フリーランスは依頼されたことをそのまま実行することが多いでしょう。
5. 個別対応
フリーランスが抱えるクライアントは通常数社程度なので、特にパートタイムでの契約では十分な注意を向けてもらえることが多いです。制作会社の場合、日々の窓口は通常プロジェクトマネージャーで、裏側でチームを取りまとめています。

ただし優れた制作会社であれば、必要に応じてSlackやJiraなどのプロジェクト管理ツールを通じて、開発者と直接やり取りすることもできます。
6. 透明性
制作会社には通常、作業内容を可視化するための確立された、多くの場合は自動化されたプロセスがあります。プロジェクト管理ツールへのアクセス権があれば、その効果はさらに大きくなります。Digismoothieでは、クライアントは支払い済みの総時間数とその消化状況、個々のタスク、チーム内の関連するやり取りをすべて確認できます。さらに、各タスクの進捗をまとめた最新の概要がSlackに自動で届きます。通話の議事録、オンライン会議の録画と文字起こし、双方のタスクを明確にするネクストステップも当然そろっています。私たちの場合、これらは現在AIが担当しています。

フリーランスの場合、報告の仕組みを自分で整えない限り、作業がブラックボックスになりやすくなります。
7. コミュニケーション
優れた制作会社では、プロフェッショナルなコミュニケーションが標準です。変更は事前に知らされ、構造化されたレポートや作業時間の報告が、多くの場合自動で送られてきます。また、やり取りする相手は一人だけで、通常はプロジェクトマネージャーです。

フリーランスの場合は、誰に依頼するか次第です。経験豊富なプロであれば制作会社と同等のコミュニケーションが取れますが、経験の浅い人ではそうとは限りません。
8. 費用
フリーランスと制作会社の費用を比べるときは、時間単価だけを見ないようにしましょう。特に重要なのは次の4つの要素です。
- 実際に必要なキャパシティ
- 契約形態(SLA、時間のプリペイド、スポット対応)
- 開発者や制作会社の経験
- 社内チームで対応できる範囲
フリーランス
フリーランスの単価は、主に経験と専門分野で決まります。チェコでShopifyを扱えるフリーランスは、通常1時間あたり900〜1,500チェココルナ(税抜、約6,500〜10,800円)を請求し、Shopify Plusのシニア専門家はそれ以上です。SEO専門家も同様で、1時間あたり2,500コルナ(約18,000円)前後の単価も珍しくありません。
参考までに、エン株式会社の「フリーランススタート」の調査によると、2026年7月のフリーランスエンジニア案件の月額平均単価は78.4万円でした。月160時間の稼働で換算すると、時給はおよそ4,900円です。
単価に加えて、あなたの側で発生するコストも計算に入れてください。依頼内容の作成、優先順位付け、成果物の確認、社内チームとの調整にかかる時間です。請求書には載りませんが、確実にコストとして発生しています。
海外のフリーランス
UpworkやFiverrといったプラットフォームは、価格の安さが魅力です。Upworkに登録しているShopify開発者の時間単価の中央値は約20ドル(約3,100円)です。ただし、コードもデザインも成果物の質には大きなばらつきがあります。時差や返信の遅さも加わり、小さなタスクでも何日もやり取りが続くことがあります。この方法を選ぶなら、慎重な人選と継続的なチェックを前提にしてください。よくある流れはこうです。今日タスクを依頼すると、2日以内に確認の質問が届き、回答すると翌日に見積もりが来ます。2日以内に作業が始まり、その翌日には平均的か平均以下の成果物が届き、その後の数日間はフィードバックと差し戻しを繰り返すことになります。

一方、shopexpertsのような専門プラットフォームは非常にうまく機能することがありますが、時間単価もはるかに高く、約70ドル(約11,000円)が目安です。
制作会社
チェコのShopify制作会社の単価は、会社の質や専門性、作業量によって1時間あたり1,500〜2,500コルナ(税抜、約10,800〜18,000円)が目安です。毎月の最低利用時間を定めた基本契約(SLA)を結ぶ場合、時間数や契約期間、個別の条件に応じて、単価から5〜10%程度の割引が見込めます。

多くの制作会社と一部のフリーランスは、Shopifyパートナーとして登録しています。Shopify Partner Directoryでは、各パートナーのティア(区分)を示すバッジが表示されます。Shopifyは現在、次の5つのティアを設けています。
- Registered:入門レベル。パートナープログラムに参加した全員がここから始まり、基準値はありません。
- Select:新規紹介と共同販売(co-sell)による収益が10万ドル以上(または既存マーチャントからの収益が50万ドル以上)、かつShopify Plus/Enterpriseのマーチャントが1社以上、または標準プランのマーチャントが10社以上。
- Plus:新規紹介による収益が50万ドル以上(または既存マーチャントから250万ドル以上)、かつPlus/Enterpriseのマーチャントが2社以上、または標準プランのマーチャントが40社以上。
- Premier(当社のティア):新規紹介による収益が200万ドル以上(または既存マーチャントから1,000万ドル以上)、かつPlus/Enterpriseのマーチャントが4社以上。
- Platinum:新規紹介による収益が500万ドル以上(または既存マーチャントから2,500万ドル以上)、かつPlus/Enterpriseのマーチャントが6社以上。
DigismoothieはShopify Premier Partnerです。チェコとスロバキアで唯一、中東欧全体でも4社しかないPremier Partnerの一つです。
ティアが測っているのはビジネスの規模、つまりパートナーがShopifyにどれだけの収益と新規マーチャントをもたらしたかです。コードの品質やコミュニケーション、あなたのストアの規模に合っているかどうかは測っていません。さらにShopifyは2026年について認定資格の要件を免除しているため、ティアは純粋にビジネス上の実績を反映しています。ここから言えるのは、上位ティアのパートナーほど大規模なプロジェクトやクライアントの経験が豊富だということです。
また、パートナーのPlusティアとShopify Plusプランを混同しないようにしましょう。Plusストアの案件を手がけるのにPlusティアは必要ありませんし、Plusのバッジがあるからといって、Plusのマーチャントとしか仕事をしないわけでもありません。
あなたのストアに合うティア
| プロジェクトの種類 | おすすめのパートナー | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| 小さな修正、テーマの変更、単一の連携 | Registeredパートナーまたは経験豊富なフリーランス | バッジではなく、ポートフォリオと実績 |
| Basic、Grow、Advancedプランで成長中のストア | SelectまたはPlusパートナー | エンタープライズ向けの重い体制なしに、数十社のマーチャントを支援してきた実績 |
| Shopify Plus、移行、複雑な連携(ERP、複数市場) | PlusまたはPremierパートナー | 自社と似たPlusプロジェクトの実績 |
| エンタープライズ、複数ブランド、グローバル展開 | PremierまたはPlatinumパートナー | チームの規模とShopifyとの直接のつながり。単価はレンジの上限近くを想定し、シニアの人材が実際に担当するかを確認しましょう |
ティアにかかわらず、自社と似たストアの事例を2〜3件紹介してもらい、実際にプロジェクトを担当する人と直接話をしてください。
まとめ:制作会社とフリーランス、どちらがよいか
一人のフリーランスは、Shopifyの専門家チームより安く見えるかもしれません。しかし、価格だけで決めるのは避けましょう。選択を誤ると、ストアの手直しが続き、結果的に高くつくことがよくあります。
その作業に対して社内の体制がどれだけ整っているか、外注先に何を期待しているかを正確に把握できているかを考えてみてください。確信が持てないなら、制作会社のほうが手厚いサポートを提供でき、必要な情報を共有すればビジネス上の判断も手伝ってくれます。
反対に、要件が明確で進め方も理解しているなら、フリーランスのほうが適しているかもしれません。作業の大半を社内で進め、手が回らない部分だけをその分野に精通したフリーランスに任せる形です。





